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| 目 次 | ||||||||||||||||||
| 序 論 | ||||||||||||||||||
| 第一章 | 監察医制度の概要 | |||||||||||||||||
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| 第二章 | 監察医制度の現状 | |||||||||||||||||
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| 第三章 | 社会の歪みが招く異状死 | |||||||||||||||||
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| 第四章 | 行旅死亡人 | |||||||||||||||||
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序 論 |
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私の祖父の家は寺院である。父が幼い時分に祖父は他界し、以後父の姉家族が寺院を守り、布教活動を行い、今日も故郷北海道で寺院を守り続けている。私は幼い時分より、父がよく実家のお寺へ僧として手伝いに行く姿を見続けて成長し、縁あって浄土真宗本願寺派の僧籍を持ち、気が付くと故郷から遠く離れた地の葬儀業界に身を置いている。 昨今は病院で死亡するケースが非常に多いが、人の死とは病院だけで起こりうるものではない。病院以外で亡くなった場合、どのような経緯を辿るか一般にはあまり知られていない。また病院で死亡診断書が交付できないこともある。そんな現実を仕事に携わる中で感じ、そして知った。 |
第一章 監察医制度の概要 |
1−1 監察医制度のはじまり |
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第二次世界大戦直後の日本は大変な混乱期であり、食糧難から多くの人々が栄養失調や伝染病で亡くなったとされている。医者に掛かることもできずに亡くなることが決して珍しいことではなく、病気の予防や伝染病に対する防疫ができない社会環境であった。 「監察医制度の歴史」 |
| 昭和21年4月1日 | 連合国軍総司令部から東京都への申し入れの結果、「東京都変死者等死因調査規程」を制定。東京都民生局長(後に衛生局長)の主管の下に東大、慶大に委嘱して日本で最初の監察医業務が東京で開始される。 |
| 昭和21年4月9日 | 厚生省から「公衆衛生ノ必要ニ依ル死体ノ検案及解剖ニ関スル件」として全国の主要都市に通達が発せられた。 |
| 昭和21年12月11日 | 連合国軍総司令部公衆衛生福祉部より厚生省医務局長に対し「監察医局の設置」に関する覚書により、各主要都市に監察医を任命配置するよう指令があった。 |
| 昭和22年1月17日 | 勅令第542号に基づく厚生省令「死因不明死体の死因調査に関する件」公布。監察医制度が東京に続いて大阪、京都、横浜、名古屋、神戸、福岡の7大都市に広げられ、各都市の医科大学がその業務を委嘱された。 |
| 昭和24年6月10日 | 「死体解剖保存法」公布。同年12月10日施行。 |
| 昭和24年12月9日 | 「監察医を置くべき地域を定める政令」が公布され、翌12月10日施行。実施地域が、東京都23区、大阪、京都、横浜、名古屋、神戸、福岡と定められた。 |
| 昭和60年7月12日 | 「監察医を置くべき地域を定める政令」の一部改正(京都、福岡の削除)。 |
1−2 監察医制度の目的 |
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現在は東京、大阪、横浜、名古屋、神戸において、それぞれの地域内における異状死またはその疑いのある死体の死因を明らかにするために監察医が検案を行う。もし状況により必要であれば行政解剖を行い、死因を明らかにする。監察医が行う究明対象は、病院で入院中の患者の死因ではなく、あくまで異状死体の死因である。下記に人の死の分類を整理する。 「人の死因の分類」 |
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※1「病死」…… |
医師にかかっていて病名が明らかな時(内因死) |
| ※2「異状死」… | 病死であるが病名不明 病院にかかったことがない 診療中の急死 病院到着時心肺停止 すべての外力作用に基づく死亡(外因死※3) 内因死か外因死か不明 中毒死の可能性 死亡の状況が不明(等を監察医により死因を解明する) |
| ※3「外因死」… | 自殺や他殺及び薬物中毒、自動車事故、労災事故などによる災害死を包括した死亡 |
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「『異状死』ガイドライン」(平成6年5月) |
| 1、 | 外因による死亡(診療の有無、診療の期間を問わない) |
| (1) | 不慮の事故 |
| A、 | 交通事故 運転者、同乗者、歩行者を問わず、交通機関(自動車のみならず自転車、鉄道、船舶などあらゆる種類のものを含む)による事故に起因した死亡。 自過失、単独事故など、事故の態様を問わない。 |
| B、 | 転倒、転落 同一平面上での転倒、階段・ステップ・建物からの転落などに起因した死亡。 |
| C、 | 溺水 海洋、河川、湖沼、池、プール、浴槽、水たまりなど、溺水の場所は問わない。 |
| D、 | 火災・火焔などによる障害 火災による死亡(火傷・一酸化炭素中毒・気道熱傷あるいはこれらの競合など、死亡が火災に起因したものすべて)、火焔・高熱物質との接触による火傷・熱傷などによる死亡。 |
| E、 | 窒息 頸部や胸部の圧迫、気道閉塞、気道内異物、酸素の欠乏などによる窒息死。 |
| F、 | 中毒 毒物、薬物などの服用、注射、接触などに起因した死亡。 |
| G、 | 異常環境 異常な温度環境への曝露(熱射病、凍死)。日射病、潜函病など。 |
| H、 | 感電・落雷 作業中の感電死、漏電による感電死、落雷による死亡など。 |
| I、 | その他の災害 上記に分類されない不慮の事故によるすべての外因死。 |
| (2) | 自殺 |
| 死亡者自身の意志と行為にもとづく死亡。 縊頸、高所からの飛降、電車への飛込、刃器・鈍器による自傷、入水、服毒など自殺の手段方法を問わない。 |
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| (3) | 他殺 |
| 加害者に殺意があったか否かにかかわらず、他人によって加えられた傷害に起因する死亡すべてを含む。 絞・扼頸、鼻口部の閉塞、刃器・鈍器による傷害、放火による焼死、毒殺など。 加害の手段方法を問わない。 |
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| (4) | 不慮の事故、自殺、他殺のいずれであるか死亡に至った原因が不詳の外因死。 |
| 手段方法を問わない。 | |
| 2、 | 外因による傷害の続発症、あるいは後遺障害による死亡 |
| 例) 頭部外傷や眠剤中毒などに続発した気管支肺炎 パラコート中毒に続発した間質性肺炎・肺線維症 外傷、中毒、熱傷に続発した敗血症・急性腎不全・多臓器不全 破傷風 骨折に伴う脂肪塞栓症 など |
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| 3、 | 上記1または2の疑いがあるもの |
| 外因と死亡との間に少しでも因果関係の疑いのあるもの。 外因と死亡との因果関係が明らかでないもの。 |
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| 4、 | 診療行為に関連した予期しない死亡、およびその疑いがあるもの |
| 注射・麻酔・手術・検査・分娩などあらゆる診療行為中、または診療行為の比較的直後における予期しない死亡。 診療行為自体が関与している可能性のある死亡。 診療行為中または比較的直後の急死で、死因が不明の場合。 診療行為の過誤や過失の有無を問わない。 |
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| 5、 | 死因が明らかでない死亡 |
| (1) | 死体として発見された場合。 |
| (2) | 一見健康に生活していた人の予期しない急死。 |
| (3) | 初診患者が、受診後ごく短時間で死因となる傷病が診断できないまま死亡した場合。 |
| (4) | 医療機関への受診歴があっても、その疾病により死亡したとは診断できない場合 (最終診療後24時間以内の死亡であっても、診断されている疾病により死亡したとは診断できない場合)。 |
| (5) | その他、死因が不明な場合。 病死か外因死か不明の場合。 |
1−3 監察医制度のない地域 |
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監察医制度がある都市は、東京23区、大阪、横浜、名古屋、神戸の5つの都市である。この他に、監察医制度に準じた地域として、東京三多摩地区、沖縄、茨城、神奈川の一部では行政が財源を出して行政解剖を行っている。 |
1−4 検案・解剖数 |
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異状死とされる扱いの死体に対して、警察による検視後、監察医制度のある都市では監察医が検案を行い、必要であれば死因追求のため行政解剖が行われている。
※ 大阪府監察医事務所では、交通事故死、火災での死亡は取り扱っていない。 前頁の表は、東京都と大阪府が監察医務事業において毎年発表している資料を比較して表にしたものである。東京においては年間約10,000体の検案要請に対して、年間約2,500体の行政解剖を行っている。大阪においては年間約4,000体の検案要請に対して、年間約1,000体の行政解剖を行っている。 |
第二章 監察医制度の現状 |
2−1 警察からの要請 |
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警察は異状死の通報を受け、現場へ駆けつけ検視を行う。検視により異状死体は分類される。目的は検視官による検視の結果、その人の死亡に誰かが責任がある場合に解剖でそれを確めることで、大学の法医学教室において司法解剖が行われる。犯罪性がない場合、あるいは犯罪であるかどうか不明な死体において、監察医制度のある地域では、警察が監察医に対して検案要請を行う。 「異状死〜検視までの流れ」 |
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| ※1 | 検視………… | 警察官がみて調べることであり、犯罪性の有無を判断する。 検視には、司法検視と行政検視がある。 |
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| 司法検視…… | 異常死体が犯罪に関係していると考えられる場合、検察官、司法警察員、刑事調査官らが死体をみること。 | ||
| 行政検視…… | 非犯罪死体を司法警察員がみたうえで死体見分調書を作成し、医師が立合い死体をみること。 | ||
| ※2 | 犯罪死体…… | 死亡が犯罪によることが明らかな死体。(司法検視) | |
| ※3 | 変死体……… | 変死者または、変死の疑いがある死体。(行政検視) | |
| ※4 | 非犯罪死体… | 死亡が犯罪によらないことが明らかな死体。(行政検視) |
2−2 検案(死体検案) |
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検案(死体検案)とは、医師が死因等を判断するために死体を外表から検査することを指す。 「検案〜死体検案書の交付まで」 |
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| ※ | 検案の目的 |
| 死因の推定、死亡時刻の推定、損害の有無、個人識別。 |
2−3 行政解剖 |
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行政解剖とは、行政の責任による死因調査を目的とした解剖である。日本において行政解剖を行うことが可能である条件は以下の3項目である。 「行政解剖ができる条件」 |
| 検疫法第13条による解剖 | |
| 船、航空機を介してのコレラ、ペストなどの法定伝染病の侵入を防止する目的で検疫所長が必要と認めた場合。 | |
| 食品衛生法第28条による解剖 | |
| 知事または保健所を設置する市長が、食中毒のように食品衛生上死体の解剖が必要と考えられる場合。 | |
| 死体解剖保存法第8条による解剖 | |
| 政令で定める地域(東京、大阪、横浜、名古屋、神戸)を管轄する都道府県知事は、その地域内における伝染病、中毒、自殺、災害死などの疑いのある死体、医師にかかっていない死体で死亡した死体、その他死因不明の死体について死因を明らかにするため監察医に検案させ、検案で死因が不明の場合。 (また行政解剖中に異状が認められた時、異状死体として警察に届出、司法解剖に切り替える。) |
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監察医制度は 行政解剖や司法解剖の他に医師が行う解剖には病理解剖と正常解剖がある。 |
2−4 死亡〜死体検案書交付までの流れ |
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「自宅・職場・路上(等)で容態が急変して亡くなった場合」 |
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| ※1 | かかりつけ医師がかけつけ亡くなった場合、診断していた病気以外で亡くなった場合や、診療後24時間以上経過して亡くなった場合、異状死の届けを行う。 | |
| ※2 | 救急隊員により死亡が確認された場合、救急車による搬送はされない。 | |
| ※3 | 搬送後24時間以内に死亡した場合、医師は死亡診断書を交付できない。 搬送後24時間以上生存し、死亡した場合は立会った医師により死亡診断書が交付される。 |
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| ※4 | 警察以降の流れについては、2―2の「検案〜死体検案書の交付まで」を参照。 |
2−5 死亡診断書と死体検案書 |
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死亡した場合、医師により死亡確認がされ死亡診断書が交付される。しかし、医師が死亡診断書を書くことができない場合が存在している。医師法による制約が存在し、下記の条文に定められている。 「医師法20条及び21条」 |
| 医師法 第20条(無診療治療等の禁止) |
| 医師は自ら診療しないで治療をし、若しくは診断書若しくは処方せんを交付し、自ら出産に立会わないで出生証明書若しくは死産証明書を交付し、又は自ら検案書を交付してはならない。但し診療中の患者が受診後24時間以内に死亡した場合に交付する死亡診断書については、この限りではない。 |
| 医師法 第21条(異状死体等の届出義務) |
| 医師は、死体又は妊娠4ヶ月以上の死産児を検案して異状があると認めたときは、24時間以内に所轄警察署に届け出なければならない。 |
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すなわち、医師法によると患者として診たことがない死体に対して、死亡診断書は交付できない。また、24時間以上診た患者以外の患者の死に対しては、24時間以内に所轄の警察署へ届け出なければいけない。 死亡診断書も死体検案書も死亡届の書類にかわりはない。しかし大きな違いは、医師が多少でも生きているうちに患者を診て、その後亡くなったケースには死亡診断書を交付する点である。 平成7年1月1日より様式が改訂された。次ページの書類が死亡届の右側の部分である。左側は遺族の署名欄であり、右側は医師により書かれる「死亡診断書」「死体検案書」である。共に書類の様式は同じであり、使わない方を横2本線で抹消する。
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2−6 死亡届 |
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死亡診断書、あるいは死体検案書の右側は、医師により故人の死因等が記載されているのに対し、左側は役所へ提出するための死亡届になっている。 「死亡届の届出人」 |
| 1、同居の親族 | … | 故人の血族6親等、親族3親等、姻族3親等まで |
| 2、同居していない親族 | … | 故人の血族6親等、親族3親等、姻族3親等まで |
| 3、同居者 | … | 故人と住民登録地が一緒の者 |
| 4、家主 | … | 家主 |
| 5、地主 | … | 地主 |
| 6、家屋管理人 | … | 家屋管理人 |
| 7、土地管理人 | … | 地主と別の管理者(駐車場等) |
| 8、公設所の長 | … | 公設所の長 |
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第三章 社会の歪みが招く異状死 |
3−1 他人事ではない異状死 |
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誰もが、家族に見守られて亡くなるわけではない。様々な境遇の中で人は生き、亡くなっていく現実が存在しており、私は業務を通じてそういったケースを心が痛くなるほど見続けている。 (※)死体取扱規則とは |
| 警察官が死体を発見し、又は死体がある旨の届出を受けた場合における死因の調査、身元の照会、遺族への引渡、市区町村長への報告等その死体の行政上の取扱方法及び手続き等の警察の規則である。 |
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3−2 引き裂かれた父 |
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海岸で下半身だけが発見された。 |
3−3 外国人行旅死亡人との別れ |
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区役所から行旅死亡人の火葬をお願いしたいという依頼があった。早速、遺体が安置されている警察へ駆けつけ、遺体を確認した。警察の話によると、遺体は外国人だという。窃盗途中にビルからビルへ飛び移る際に転落し亡くなったという。遺体は警察の検視後、司法解剖にはならず、監察医により検案されて、死体検案書が交付されていた。 |
3−4 愛犬と独居老人 |
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一人暮らしをするお年寄りは、今の時代決して珍しくはない。 |
3−5 失踪宣告者の死 |
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7年間行方不明の者は、家族の届出により家庭裁判所の判断で失踪宣告が受理される。 |
3−6 酒 |
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男は酒を飲んだ後、いつものごとく銭湯に赴き湯船につかっていた。酒を飲んだ後の入浴は、誰しも知るように気分の好いものだ。しかし同時に危険性をはらんでいる。夕方の混雑時が過ぎた閉店間際だったため、客も少なかった。番台の店主が店じまいを客に伝えるため、風呂場をのぞきこむと、湯船に顔をつけ浮かんでいる客の姿を発見した。店主は酒臭い客を引き上げ、119番通報を行った。 |
3−7 肉親 |
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故人との間にわだかまりが折りなす遺族の葛藤は様々である。警察は様々な境遇におかれた立場の遺体を取り扱い、引取り者を捜査する。北は北海道、南は沖縄、または海外からも遺体を引き取りに遺族がやって来る。 |
3−8 内縁者 |
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入籍をせずに共に生活している人々は、世の中に多く存在している。個々の事情は様々である。生前問題なく生活をしていても、死後、思いもよらないことが待ち受けている場合が存在する。 |
第四章 行旅死亡人 |
4−1 身元不明死者 |
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身元不明死者の多くは、「行旅死亡人」という扱いで火葬される。 「身元調査〜火葬までの流れ」 |
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| ※1 | 大阪市内においては、火葬後1年間は火葬場で遺骨を保管し、その後、無縁仏の扱いとなる。 |
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4−2 引取り拒否 |
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遺族である親族にとって、故人は必ずしも愛すべき者でない。亡くなったことを伝え聞いても、引取りを拒否することが現実問題として存在している。引取りを拒否するケースとして、大きく分けると以下のようになる。 「引取りを拒否するケース」
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| 生前の故人に対する事情による場合 | |
| これに関して、第3者である警察、区役所がいくら遺族を説得しても、どうすることもできない問題が故人との間にあったと推測される。 かつて「死んで仏になったんだ。仏さんには罪はない。」と言って拒否する遺族をなだめ、故人を無縁仏にさせない配慮があったが、今は聞く耳を持たない人々が多い社会環境になっている。 遺族により拒否された遺体は、遺族に代わり行政が火葬する。先に述べた通り、現在大阪市では、遺族の感情を配慮し、例え引取り拒否のケースであっても、火葬後すぐにその遺骨は無縁仏にはしない。一年間火葬場で遺骨を保管している。 |
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| 連絡を受けた親族が故人を知らない場合 | |
| 警察や区役所から突然の死を告げられても、故人について名前は聞いたことがあっても顔を知らなかったり、小さい頃にお年玉をもらったなどという記憶はあるがそれ以上のことは何も知らなかったり、あるいは全く知らない場合が存在する。これについても、死亡届の届出人資格と関係がある。 死亡届の届出人資格の 2、同居していない親族(1、同居の親族も同じ範囲)の範囲は、故人の血族6親等内、配偶者、姻族3親等内となっている。(親族の範囲については別紙参照) 別紙の通り、かなり範囲に幅がある。そのため故人が高齢者であった場合、引取り可能な親族が生存していない場合もあり、連絡を受けても故人を知らないケースがある。 |
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| 経済的事情による場合 | |
| 遺体を引き取るにあたって火葬するための費用が発生する。そのため、経済的理由から遺体の引き取りを拒否するケースも発生している。 | |
| その他 | |
| 故人が誰なのか指紋によっても確認できない場合が存在する。人は亡くなると腐敗していく。警察・区役所が本人であるかどうか確認するために、遺族に故人の顔確認をしてもらうが、顔の判別がつかない場合が存在する。その場合、故人が特定不可能となる。 あるいは、遺族による費用負担でDNA鑑定を行い確認する場合もある。 |
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4−3 日本の社会状況 |
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人は誰しもいつかは死亡する。死は突然におとずれるという同じ条件の下、私たちは日々の生活を送りながら、様々な社会問題に直面している。
*平成12年度の全国のホームレス数は未調査のためデータはない。 大阪市は全国で最もホームレスが多い都市である。ゆえに弱者の弱みにつけこむ者も存在する。ホームレスに生活保護を受けるように持ちかけ、手数料として保護費の大半を取り上げるヤカラまで発生している。(平成16年5月19日朝日新聞)
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| ※ | 横軸は貧困と、心身の障害・不安に基づく問題を示すが、縦軸はこれを現代社会との関連で見た問題性を示したもの。 |
| ※ | 各問題は、相互に関連しあっている。 |
| ※ | 社会的排除や孤立の強いものほど制度からも漏れやすく、福祉的支援が緊急に必要。 (「社会的な援護を要する人々に対する社会福祉のあり方に関する検討会」報告書より) |
4−4 まとめ |
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当社において監察医業務を担当し、日々葬儀に携わる中で、死んでから遺族に引取りを拒否されるという現状を目のあたりにしている。 目前に出棺がせまる遺体が柩に入って横たわっている。会葬者はいない。念仏の1つも唱える坊さんもいない。ただ火葬されるのみの行旅死亡人。 論語の中にこのような一節がある。 以上 |
<補足> |
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大阪府での監察医制度のはじまりと公益社 「大阪府監察医事務所の歩み」 |
| 昭和29年3月22日 | 「大阪府死因調査事務所規程」が制定される。 |
| 昭和56年4月1日 | 名称を「大阪府死因調査事務所」から現在の「大阪府監察医事務所」へ変更。 |
| 平成2年7月1日 | 大阪大学医学部の吹田キャンパス移動に伴い、大阪市中央区馬場町1番6号へ大阪府監察医事務所を移転。 |
| 平成12年4月1日 | 大阪府衛生行政事務手数料条例が施行され、死体検案書が有料となる。 |
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〈参考文献〉 |
参考資料 |
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