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火葬研究協会 事務局長 一級建築士
昭和40年4月4日 新潟県生まれ
●学歴  
昭和63年3月 東京電機大学工学部建築学科卒業
平成2年3月 同大学大学院理工学研究科建設工学専攻卒業
主に火葬炉の変遷と火葬場の建築計画に関する研究を行う
修士論文:
火葬炉の技術変革と火葬場の建築計画に関する研究
●職歴
火葬炉メーカーにて火葬炉設備の開発・設計施工及び営業を担当。
その後、社団法人日本環境斎苑協会にて研究員として調査研究及び研修会講師を担当した後、平成11年6月に火葬研究協会設立、理事に就任。

・火葬の一時禁止と取締りの対象へ
 日本は火葬の国である。上代より仏教と共に移入されたといわれるこの葬法が、近代にあっては衛生的に理にかなうとされ、近代国家の中でこれほど普及している国はない。日本では亡くなられた方のほとんどが火葬されており、日本の風土に適した葬法であることを物語っている。日本の火葬は、世界的にみて先進性と特異性を持っている。それは、火葬率の高さと会葬者全員で行う「骨上げ」である。すなわち死を具体的に確認する所作が行われていることである。しかし、火葬を行う場とその行為に対して、不当な嫌悪感と偏見が極めて強いことも事実である。
文献上では道昭の大和の粟原での火葬(七〇〇)を天下の始まりとするが、道昭の火葬以前にも民間に火葬の習俗があり火葬墓もみつけ出されていることから、葬法としての起源をみつけることも興味ある課題であるが、日本人に火葬が普及したのは、ひとつには仏教側からの働きがあるといえる。江戸時代になると、仏教の幕藩体制化での国教的な扱いとともに更なる普及がみられるようになる。
  明治六年(一八七三)七月十八日、太政官布告により、火葬が全面的に禁止された。これは明治新政府の神道国家政策によるもので、平田国学の流れをくむ政府の神祇官僚たちによって、廃仏毀釈とともに幕藩体制下で国教的扱いを受けてきた仏教を圧迫するため、仏葬としての火葬を問題視してきたことにある。火葬禁止にともない一旦土葬に切り替えられた。東京では寺院境内をすべて墓地として扱うよう申出がだされるが、反対に朱引内(御府内)はすべて埋葬禁止と通達が出された。埋葬地の不足などもあり、二年後の明治八年(一八七五)五月二三日に火葬が再開される。全国各地からの火葬再開の問合せに対して同年六月二四日に「焼場ノ儀左ノ心得ヲ以テ取扱可申此相達候事」と通達が出された。東京府下は朱引の外でそれ以外は市街村落の外れで人家から離れた場所で地租が安い場所を選んで建設するように。運営は独立採算を基本とし、遺骨は火葬した場所に埋めてはならないとした。このことにより墓地と火葬場は分離されることになった。
 また明治初期のコレラ流行の際、伝染病対策に火葬が有効でむしろ推奨すべきという調査結果がだされ、衛生面での火葬が推奨されるようになった。土葬が盛んであった地域でも、伝染病対策としての火葬場が作られ、伝染病者は火葬されることになった。それ以降、葬送の場としての性格を強く持っていた火葬場が、法律上は単なる処理施設として扱われるようになった。
 更に土葬が主だった地域でも都市化や土葬禁止区域の拡大、地域社会の変化による葬送習慣も変わり火葬が普及するようになっていった。

・法律上の扱いと問題点
 日本の火葬に関する法律として「墓地、埋葬等に関する法律」(昭和二三年:以下墓埋法)がある。同法は明治十七年の「墓地及埋葬取締規則」がベースになっている。内容は火葬場の許認可に関する事項が中心で、施設基準に関する項目はみられない。他の国の法律をみると、イギリス、中国、韓国は火葬を葬法の一つと捉え、効率性の面から法整備を行い推奨しようとするものである。火葬が最も盛んな日本が火葬場の建設に消極的な法律であり、国家の火葬に対する考えが述べられていない。また火葬を単体で考えており、一連の葬儀の流れには触れていない。火葬場は遺体を焼却するための施設として扱っている。慣習としての火葬には触れず、衛生的に行えれば良いというものである。これには明治初期の火葬禁止時の葬法としての火葬を忌避するという思想が影響していると考えられる。衛生面では認めるが慣習としての火葬は認めがたいとするものである。しかし日本の火葬システムが感覚に合うこともあり、土葬が主であった地域でも次第に火葬へと変っていった。
 現在の火葬場も、炉前での告別や会葬者による拾骨など、古くからの慣習としての火葬が行われている。したがって処理場として位置付けられている火葬場を葬送の場として見つめ直す必要がある。明治初期の野焼き施設に近い火葬場に対して設けられた基準が現在もほぼ変らないまま残っている。
 火葬場の運営手法にPFI(プライベート・ファイナンス・イニシアチブ)が導入され、サービスを提供する施設として扱う自治体も出てきている。火葬場をサービス提供の施設として扱うことには政策的効果が明確に存在する。埋葬に関する法律に付属した扱いとするのではなく、火葬を葬法として扱う独立した火葬法としての法整備が求められる。

・火葬場のあり方
 葬送の場としての火葬場を考えると、火葬場は単に遺体を処理する場でなく、遺体との最後の別れを告げる空間であるといえる。火葬場では遺族や会葬者が最後のお別れを行っているが、気兼ねなく心ゆくまでのお別れを実現しているのか疑問である。
 火葬場は葬送の中で遺体への最後の別れを告げ、死を確認するという意味深い空間である。「火葬場らしくない」、「火葬場を意識させない」など火葬場をイメージさせない無性格な施設が作られている。会葬に来た人達の心情よりも、火葬場を建設しやすくするために、単に遺体を焼却できればかまわないといった処理場的な発想で作られているといえる。
 葬送は、送り出す遺族、親族、それにいろいろな意味での人のつながりが大切である。どれも同じではなく、その土地の風景が取り込まれたふるさとの火葬場でのお別れ、心ゆくまでの弔いができるような、個々の儀式性を重要視した施設が求められる。心から人を送り出すにふさわしい空間、故人とのけじめがつけることができる空間を提供することが火葬場の役割と考える。また火葬場をサービスを提供する場として捉え、運営する必要がある。職員は会葬者に対する接遇態度に注意する必要があり、教育と研修の実施が要求される。マニュアルだけに頼らず、遺族の心情や状況に配慮した行動が必要である。

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