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●経歴
昭和57年  京都産業大学英米語学科卒業
平成13年 アメリカ・カリフォルニア州
ユナイテッドステイツ
インターナショナル大学大学院
臨床心理学部博士課程
前期終了
カウンセリング心理学修士号
取得

●現在
大阪府女性総合センター相談員スタッフ
大阪市港区家庭児童相談室相談員
京田辺市教育委員会教育相談員
(小学校スクールカウンセラー)
大阪千里YWCA「グリーフケア学習会」
講師
淀川キリスト教病院ホスピス遺族ケア
ボランティアカウンセラー
 
 公益社でご遺族のケアを始められるそうだとお聞きしたのは昨年の秋のことでした。ご遺族のためのサポートグループのファシリテーター(進行役)としてお手伝いをすることになり、これまでに四回参加させていただきました。日本において葬儀会社が遺族ケアをこのような形でするのは他にない試みだと思います。私のいたカリフォルニア州サンディエゴでも、葬儀会社が遺族にサポートグループを提供するというのは、私の知る限りではありませんでした。もちろんアメリカには日本と比べられない程多数の遺族のサポートグループや自助会があり、地域に専門のグリーフカウンセラーがいて、病院やホスピス・葬儀会社に問い合わせればそれらの情報を提供してくれます。そういう意味では、アメリカにおける「グリーフケア」は普及していると言えるのかもしれません。
  「グリーフ」というのは「喪失の悲嘆」という意味で、その喪失とは必ずしも死別を指すものではありません。病気・離婚・失業・引っ越しなどもグリーフを伴う喪失体験です。しかし、失ったものがその人にとってそれほど大きな意味を持たなかったり、代わりのもので埋められるのであれば、その悲しさは日々の生活の中でなんとかやり過ごすことができるものです。一方、死別というような大きな喪失の場合、グリーフは深く長く続きます。グリーフは一瞬の出来事や感じ方ではなくて、死別を体験した人が辿る心や体の変化全てを含む長期にわたるプロセスです。多くの方に共通して見られるのは、不眠や食欲減退などの身体的影響、外出をしたくなくなったり、人と会うのを避けたり、以前好きだった事も楽しめなくなったりする日常生活上の変化等です。感情的な変化は人によって様々で、悲しみだけでなく罪悪感を強く持ったり怒りでグリーフを表したりすることもあります。同じ家族の中でもグリーフの表し方はそれぞれ違い、そのため親族や夫婦間の関係が悪くなってしまうことも非常によく聞かれることです。「グリーフケア」は、このように様々な変化を体験している遺族の心の回復がよりスムーズに起こる助けとなるケアです。
  最近、日本でも「グリーフケア」という言葉が使われるようになってきました。「心のケア」というと心理の専門家の仕事と思われるようですが、違った形のケアが色々な分野でも行われています。例えば、公益社ですでにサービスの一つとして取り入れられているエンバーミングは、元々アメリカで地域衛生上の処置として始まったものですが、現在はアメリカでも「葬儀会社のできるグリーフケア」としての役割を担っています。事故や闘病で昔の面影が無くなってしまったお顔をお元気だったころに近づけることができたり、遠方のご家族が対面してゆっくりとお別れをすることができるなど、よかったと思える最後の場面を持つ手助けができます。日本では、エンバーミングはほとんどの場合がグリーフケアのためであると言っても良いのではないでしょうか。「グリーフケア」とはその場限りで喜ばれるサービスやケアではありません。たとえ一瞬の出来事やたった一言かけられた言葉であっても、それはその先ずっと愛する人を亡くした方の心の中に残り、思い出す度に心が温かくなるものなのだと思います。その温かさがグリーフの棘を少しずつ溶かしていってくれるような気がします。
  他に、アメリカと日本とでは、人によって与えられるケアだけでなく文化的な違いがもたらすものにも大きな違いがあるように思いました。地域や宗教によって慣習は違いますが、アメリカでは仏壇のような物が無く、お骨や写真を洋服ダンスの上や本棚に飾っている方がたくさんいました。私が日本の仏壇の話をすると、とても良い考えだとご自分で小さな飾り棚を作られた方もいて、その創造力に感心させられました。また、アメリカでは初七日や四十九日や一回忌などに当たるものがなく、ご遺族の一人が初めての命日にお墓に行く以外何もしないと言われた時には本当に驚きました。日本では、お葬式や法事のような儀式は「故人を偲ぶ」ためと言いますが、アメリカではどちらかと言えば「故人が生きた人生を祝う」という考え方をしているようです。初めてこの「人生を祝う」という言葉を聞いた時は、「亡くなってしまったのにどうしてお祝いするのだろう」と思いましたが、これは長くても短くてもその人が存在していたことに敬意をはらうということであり、日本的な考え方とは表現が違うだけであって本当の意味は全く同じものであると気付きました。
  日本とアメリカは環境も文化も全く異なる国ですが、愛する人を亡くした悲しみに国境はありません。「グリーフケア」を広く普及していくには、「グリーフとそのケア」について正しい知識を持っていただくことが必要だということをアメリカで学びました。一般の方だけでなくご遺族に関わる全ての職業の方にも「グリーフケア」を知っていただくため、今後も活動を続けて行きたいと思います。
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