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  フューネラルディレクター(全米国家資格)
カリフォルニア州エンバーマー (ライセンスEMB 8712)
日本ヒューマンライフセレモニー専門学校 副校長
 
   
1991年成城大学法学部法律学科卒業。ぴあ株式会社を経て、フューネラルディレクターのライセンス取得のため渡米。ピッツバーグ葬儀学校にて、エンバーミング等のアメリカの葬祭に関する専門教育を受け、1996年に卒業。その後フューネラルディレクターおよびエンバーマーライセンスを取得するために必要なインターンシップを行うかたわら、ジョンF.ケネディー大学院にてグリーフケアに必要な心理学を初めとする教育を受ける。現在神奈川県平塚市にある冠婚葬祭についての教育を提供する「日本ヒューマンライフセレモニー専門学校」にてグリーフケアやエンバーミングなどの教科を担当する。
   

 日本に帰国してから約一年半に渡って、高校を卒業したばかりの学生、社会人経験をもつ者、そして、葬儀の実務経験のある方々まで専門学校というチャネルを通じて接してきましたが、最近気づいたことがあります。葬儀というビジネスにおいても「オーラル・コミュニケーション」の重要性がますます増しているということです。葬儀社の仕事がご遺体を搬送し、ご納棺をして差し上げ、祭壇・葬具の飾り付けを行い、さまざまな事務処理をするだけであれば、このような能力の必要はなかったのかもしれません。しかし、都市圏を中心として「身内だけの葬儀」を望むご遺族が増えてきている現状の中で、「心から死別の悲しみを共有してくれる」方とだけ、お別れの時間を過ごしたいと彼等が考えているのであれば、そこで施行のお手伝いをしている葬儀社のスタッフに対しても同じ事を望むのは当然となるのではないだろうかと思うのです。
 ご遺族の悲しみを共有し、共感し、そのことをご遺族にきちんと自分の言葉で伝えられる能力が今、葬儀社のスタッフに求められています。そういったことについて考えなければならない時期にきているのかも知れません。なぜなら、ご遺族が、病院から葬儀社に対して搬送の依頼の電話を掛けてきたときから始まり、葬儀後も、最低でも清算、ご法要が済むまでは、ご遺族とのコミュニケーションを継続する必要があるはずだからです。この単純で、習わずともいつのまにか出来ている「オーラル・コミュニケーション」においても、話すことは練習しても、「聞く」事を学んだり、訓練したりした事のない人は多いと思います。
 ご遺族が安心感を得るために、特に、我々があまり気にすることの少ない非言語コミュニケーションの部分は、ご遺族のグリーフプロセスに大きな影響を与えているような気がします。つまりいかにしてご遺族を安心させ、遺族が自らの感情や考え方を取り戻し、自己の問題解決能力を発揮できるようになるかは、我々葬儀の仕事に携わる者にかかっている、つまり、我々のコミュニケーション能力にかかっているとも言えるはずです。
 であれば、我々は何を身につける必要があるのだろうか。まず個々人が自己のコミュニケーションについて知る必要があるのではないかと思います。私自身が学校で、グリーフケアについて学んでいたとき、良いカウンセラーとそうでないカウンセラーを分けるのは、理論やテクニックではなく、その人となりが、93%以上を占めるのだと教わりました。そして、ご遺族と接していると、自分の存在自体に大きな影響力があることを実感として感じ、次のようなテクニックを理解し、自分自身に何が必要かを具体的に把握する必要があります。・相づち、・リピート、・言い換え、・共感、・気付き、・ポジショニングを初めとする非言語コミュニケーション等は、基礎的なものとなるはずです。例えば、人間の五感の情報収集力を研究したメイラビアンによると、最も情報を収集する能力が高いのは、視覚であり、与えられる情報の約83%も視覚から収集していたといいますが、そのことだけを見ても、我々は、毎日他人の目にどう映っているかモニターし合う必要があるかもしれません。
 最近、葬儀の定義を以下の様に再定義する必要もあるのではないかとも考えています。「人は多くの、かつ複雑に絡み合った感情を持つと、どのように表現して良いのか判断がつかなくなる。ご葬儀は、ご遺族が自分の感情や考えを素直に安心して表現できる場であり、そこは、その素直な感情等を受けとめて、共感してくれる人々が、集う時間、そして、空間である。」このように定義し直すと、ご遺族が葬儀社に対して求めているサービス・商品の中で、最高のものは、ご遺族の存在・独自性を尊重し、多くを語らない、聞く能力をもった存在である葬儀社のスタッフなのかもしれません。
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