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| 犬童 |
都会では、人の死が身近でなくなって、とても遠いところにあるじゃないですか。昨日まで、一緒に過ごした人がいなくなるという現実。僕は東京生まれなので死は隠れたもの、というイメージがあるんです。でも、地方には、その土地独自の葬祭文化というものがありますよね。 |
| 中西 |
私は土佐の生まれなのですが、近所の方々が葬列を組んで歩くんですね。以前インドネシアに5年間ほど暮らしたことがあるのですが、ここには葬列の習慣が濃厚に残っていましたよ。特にバリ島の葬列は竹竿の飾りなど郷里の土佐のそれとそっくりで、驚きました。 |
| 犬童 |
中国でも葬列をしますよね。そういった独特の文化やしきたりって、どんどん廃れていっていますよね。人間関係が希薄になっていくことと関係があるのでしょうか?今の日本は人が死ぬことを目に見えないようにしているような気がします。子どもから死を遠ざけると、目の前にいる親しい人間がいずれいなくなるという感覚がなくなってしまいますよね。 |
| 中西 |
核家族化して、ますます死がゲームや漫画だけの世界になると、死への畏敬の念が薄れてしまいますね。このことが、最近の低年齢層の痛ましい事件の遠因のような気がしてなりません。 |
| 犬童 |
でも、公益社さんの若い社員の方は、20代の前半で人の死を扱う仕事をされているわけですから、これはすごく貴重な体験ですよね。 |
| 中西 |
一般的には、病院でお亡くなりになると、ご遺体を引き取りに伺い、ご自宅に安置させていただきます。そして必ず納棺を経験させるのです。ご遺体を扱うわけですから確かに、若い社員にはとても緊張感のある仕事です。10年前から当社では大学新卒を採用しているのですが、それでも定着率は80%なんですよ。 |
| 犬童 |
それはすごくやりがいのある素晴らしい仕事ですね。若いうちからそういうお仕事に従事されているとしっかりした死生観が生まれるでしょうね。 |
| 中西 |
やはり我々は、ご遺族から感謝の言葉をいただくときが、この上なくありがたい瞬間です。当社の播島会長が常々社員に対し、種々の困難を乗り越える努力をして仕事の目標を達成したとき、人は喜びを味わうものだ、これこそ「自己実現」でこれで仕事の満足を得ようと云っています。監督の演出された『死に花』の老人たちが、苦労して穴を掘り続け、やっと目的の金庫に辿り着いて達成したときのあの喜びの姿こそ、まさにこの自己実現だと私もついつい心で快哉を叫びました。 |
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| 中西 |
私たちは、新しい葬儀のあり方を考えるとともに、葬儀の中に込められた昔ながらのしきたりや意味は大事に守り伝えていこうと心がけています。葬祭研究所を設立して、名乗り出た社員がそれぞれテーマを持って研究し、その成果を論文集にまとめて発表もしています。また、当社は葬儀だけでなく、これからは世代を超えたところにも視野を広げ、例えば健康や暮らしのお手伝いをするライフサポートビジネスにも力を入れていきたいと考えているんです。このあたりのことで、監督のアドバイスを何かいただければありがたいのですが。 |
| 犬童 |
たしかに、中年、壮年といわれる世代は、時流から抜け落ちている年代ですよね。サラリーマン家庭の崩壊劇を、陽気かつシニカルに描写した映画『アメリカン・ビューティー』でフォーカスされたミドルエイジクライシス(中年の危機)という声は世界的にも広まっています。40代は肉体的、精神的な衰えを実感し、漠然とした不安を抱き始める。また、はじめて死を意識する年代です。自分の親が亡くなり、次は自分だと、死が現実的になる年代でもありますね。 |
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昔の40代に比べて、今の40代はずいぶん幼く育っています。そういう大人にならねばならない40代のために頑張ってください。期待しています(笑)。 |
| 犬童 一心 氏 |
1960年、東京都生まれ。79年『気分をかえて?』でぴあフィルム・フェスティバルに入選。その後はCMディレクターや脚本家としても活躍するほか、ブロードバンド映画『手を握る泥棒の物語』も手がける。主な作品に『赤すいか黄すいか』(82)、『二人が喋ってる。』(97)、『金魚の一生』(97)、『何もかも百回もいわれたこと』(97)、『大阪物語』(99/脚本)、『ドリーム メーカー』(99/脚本)、『金髪の草原』(00)、『黄泉がえり』(03/脚本)、『ジョゼと虎と魚たち』(03)がある。最新作は今春公開された『死に花』。 |
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| 中西 通 |
1936(昭和11)年、高知県生まれ。1960(昭和35)年、京都大学法学部卒業。帝人を経て、1994(平成6)年公益社へ入社。2003(平成15)年、代表取締役専務、2004(平成16)年6月、代表取締役副社長に就任、現在に至る。 |
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| 中西 |
今日の監督のお話はいろいろ示唆に富んだ内容で大変参考になりました。これからは葬儀のみならず、ご遺族のサポートやまた、みなさんのかけがえのない素晴らしい人生に焦点をあて、そこで何かお手伝いをすることはないか、さまざまなサービスを考えてゆき、そして徹底してそのサービスの質を高めていきたいと思っています。今日はお忙しいところ、お時間をいただき本当にありがとうございました。 |